この記事では、小学生や幼児の子育てで悩んだときにヒントをもらえる本『子どもが育つ魔法の言葉』についてまとめてみます。
子育ては楽しいこともあるけれど、同じくらい悩むこともたくさんありますよね。
今回紹介する本『子どもが育つ魔法の言葉』は、子育て中に1度は読んでおきたいオススメの本。
育児本というよりも、
こんなとき親としてどうすれば?と
考えるきっかけを与えてくれる1冊です。
<この記事でわかること>
・子どもは、親の言動から学んでいく。「子は親の鏡」。
・親としても、社会人としても、役に立つ1冊。
『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)
『子どもが育つ魔法の言葉』はアメリカの教育家ドロシー・ロー・ノルトが書いた本。
といっても、ドロシー氏がどれほどの人なのかは私にはわかりませんが、彼女の著書である本書が世界中で大ベストセラーとなっていることだけは確かです。
このタイトルだけを見ると、「子育てのマニュアル本かな?」「子育てで使える便利なセリフ(魔法の言葉)が見つかるのかな」と思ってしまいますが、さにあらず。
子どもをよりよく育てるために、
親である自分はどう考え、
どんな行動をとり、
どんな生き方をしていけばいいのか。
それを自分で考えるチカラやヒントを与えてくれる本です。
「子は親の鏡」という詩から生まれた1冊。
親が子供の性質や言動について悩むとき、たいていそれは
「私の思う通りの子どもに育っていない」
という考えがベースにあるのではないでしょうか。
この『子どもが育つ魔法の言葉』は、
著者が作った「子は親の鏡」という詩がベースになっています。
この詩は、親のありのままの言動や生き方が、子供によい影響も悪い影響も与えるよ…という内容がシンプルな言葉でつづられたものです。
「子は親の鏡」とは?
下記に、「子は親の鏡」の一部を引用させていただきますね。
けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
~後略~
引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)より
「うちの子は、なんでこうなんだろう…?」
そんなネガティブな思いを抱いているときにこの詩を読むと、身につまされませんか。
この「子は親の鏡」という詩の前半では、親のマイナスな言動が子どもに影響するさまが表現されています。
でも、詩の後半では逆に、親のプラスの言動が子どもに良い影響を及ぼすことが書かれています。下記に引用させていただきますね。
~前略~
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげあれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる。引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)より
誰にでもわかる平易なコトバなのですが、子育て中に読むと、とても心に響きませんか。
『子どもが育つ魔法の言葉』は、先に引用した詩の一節一節が目次になっていて、それぞれの解説が詳しく書かれているのが特徴的です。
一般的な子育て本では、
- 「キレない子にするためには〇〇せよ」
- 「自信を持たせるためには〇〇してはダメ」
という口調が多いもの。
そういう一般的な子育て本に比べると、本書は、悩める親の気持ちに寄り添ってくれるやさしい文体も魅力です。
ただでさえ子育てで悩んでいるときに、説教されたくない。
そんな私のような人にもおすすめの子育て本です。
完璧な親じゃなくてもいい、と安心できる。
「子は親の鏡」といわれると、「子どもの前で模範的な言動を心掛けなくては…」とプレッシャーに感じる方もいるかもしれませんが、本書の中ではそのような記述はありません。
実際に、本書の文庫版には、
完璧な手本になる必要はない
引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)P50より
という項目があり、親がうまく感情をコントロールできず、感情的になってしまったらどうするべきか?その不完全な親の姿さえも、子どものよりよい成長に生かせる方法が提示されています。
また、多くの子育て本は両親が仲良くするのが大切と説いていますが、本書には下記のような項目もあります。
親の離婚
引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)P56より
いろいろな事情があって両親が離婚することになってしまった場合、子どものために何を大事にするべきか?ということも書かれているのは、古い本なのに新しいなと感じます。
こんな風に、本書は最初から最後まで、
ダメな親だなと感じている読み手を
勇気づけるような内容
なので、教科書のような堅苦しさを感じずにスムーズに読み進められます。
読みたいところだけ、読めばいい。
子育ての悩みは、子供の年齢や環境に応じてどんどん変化していくもの。
本著『子どもが育つ魔法の言葉』は子育ての本ではありますが、子育ての教科書やノウハウ本ではないので、1ページ目から順番に読む必要はありません。
本著の目次は、「子は親の鏡」という詩の一節一節で章立てされているので、目次をパッと見て気になったところだけを読めるのも使い勝手がいいと思います。
下記は目次の一部ですが、太字部分が詩の一節です。その後ろに書かれている小さな項目を読むと、その章に何が書かれているのか大体わかりますよね。


たとえば、「わが子が消極的で頼りない」「いじめられてる気がする」…と感じているなら、上の目次にある「子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる」という章を読んでみてはいかがでしょう。
以下は余談ですが…、
私はこの章の中にある「家庭内のいじめ」という項目を読んで、猛省しました。
というのも、子どもを楽しくからかっているつもりが、いわゆる「いじり」という名のいじめになっていたのでは?と気が付いたからです。
その「家庭内のいじめ」の項目には、以下のように書いてありました。
本当の強さは、人から馬鹿にされたりからかわれたりして育つものではありません。
保身に回るというよくない処世が身についてしまうだけです。
これは、本当の強さではありません。
引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)P86より
子どもの年代別:おすすめのページはここ!
本著に書かれていることは、幼児から小学生、10代の難しい年ごろの子育てにも対応しているので、1冊持っていれば重宝します。
以下では、各年代別におすすめの章をご紹介してみます。あくまでも私の個人的なセレクトですが、ぜひ参考にしてみてくださいね。
幼児には、こんな章がおすすめ
「誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ」
―その子のいいところを見つけ出す
―親に誉められた面が伸びる
―子どもには親の気持ちがわかる
―自分を愛することを教える
―ただ誉めてあげるだけでは足りないときもある
―幸せな幼年時代引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)目次より
正直、幼児向けにおすすめの章はすべて!だと言えるので、どれか1つだけを選ぶのは非常に難しかったのですが、あえて選ぶならこの章だと思います。
なぜなら、子どもを誉めるとは、ただ「すご~い」「じょうず~」と言ってればいいワケじゃない…ということが書かれているからです。
幼児のうちから何をどう誉めていくのか、その誉め方次第でその子の魅力が変わっていく。
この章を読むと、仕事で忙しくて余裕がないときでも、子どもの言動を見逃すまい!という気になれます。
小学生には、こんな章がおすすめ
「見つめてあげれば、子どもは頑張り屋になる」
―目標をたてることの大切さ
―積み重ねの大切さ
―お小遣いの大切さ
―子どもの夢を分かち合う引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)目次より
小学生になると、ピアノやサッカーなどの習い事をもっと自主的にがんばってほしい…と親の欲が出てきますよね。
習い事に限らず、勉強でもそうですが、もっともっと進歩してほしいから「練習しなさい!」「勉強しなさい!」と口うるさく言ってしまう…。
小1から続けたリアルなZ会の体験談をまとめた記事も参考にしてみてね。
10代には、こんな章がおすすめ
「認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる」
―子どもは親に誉められた面を伸ばしてゆく
―家庭生活のルールを教える
―十代の子どもたちのモラル
―自分を好きになることの大切さ引用:『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP文庫)目次より
小学校高学年ともなると、もう十代。家族よりも友達が大事になり、だんだん親の庇護下から外の世界へと出ていきます。
親のコントロールがききにくくなるので何かと悩みも増える時期ですが、そんなときにはこの章を読むといいかもしれません。
子どもの意思を尊重しながら、守ってほしいことは守らせる。親としてどこにポイントを絞って十代の子と接するか?がわかるのではないでしょうか。
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子育ては、子供とのコミュニケーションだ!
『子どもが育つ魔法の言葉』のタイトルにある「魔法の言葉」と聞くと、子どもを良い子に育てる呪文やおまじないのように思いますよね。
たとえば、「こう言えば子どもは賢くなる」とか「こう言えば子どもはやさしく愛情深い子に育つ」とかのような…。
タイトルの「魔法の言葉」とは、おそらくコミュニケーションのことを表しているのではないかなと思います。
子育てというよりも、
人間対人間のコミュニケーションを通して、
親も子供もより良く成長していくための本
という感じがするんですよね。